2018年10月22日月曜日

英語の名前とか(17)

毎回無秩序に思いついたトリの名を並べるだけというのが実情となってはおりますが、「オウム(鸚鵡)」、 ‘Parrot’ ってのも思い出しちゃったので、今回はまずそれの話から。

意外なことに、これもまた渾名型であるよりは、人名が先という例が基本とのことなのでした。英語の人名としては、やはり11世紀のノルマン征服に伴ってもたらされた仏語の名前、 ‘Pierre’ から転じた ‘Peter’ という洗礼名、つまりは「ペテロ」が起源だというのですが、「小ピーター」とでもいった愛称が ‘Parrot’ だったんだとか。渾名とすれば、やはり「おしゃべり」ってことだったんでしょう。

2018年10月19日金曜日

英語の名前とか(16)

前回は ‘Swallow’ だけ、しかも大半は肝心の名字とは関係のない与太話に終始してしまいましたが、今少し鳥由来の事例を挙げておくことにします。
 
                  
 
日本では「アトリ」(漢字では「獦子鳥」とか「花鶏」とか)などという、あたしなんぞはついぞ聞いたこともない鳥に類するらしい ‘finch’ っていう、あちらでは結構身近な美声の小鳥が渾名となり、それが子孫に受け継がれて名字になった、ってのもありました。ついでに、 ‘bullfinch’ (英和辞典では「ウソ」)だの ‘chaffinch’ (同じく「ズアオアトリ」)だの ‘goldfinch’ (同「オウゴンヒワ」)だのっていう同系の一派が、そのまま名字になっている事例も珍しくはないようで。

2018年10月15日月曜日

英語の名前とか(15)

少々駄洒落っぽい連想かとも思われますが、前回言及した ‘Sparrow’、「雀」とは、カタカナ表記だと1字違いということになる ‘Swallow’、 「燕」って名字もあるのを思い出しましたので、今回はまずその話から。

とは言いながら、これもまた鳥由来の渾名系よりは、第2区分の「土地型」に属する例が基本で、「渦」とか「急流」とかいう意味の同形異語が名字となったものだと申します。後期古英語および中英語(11世紀のノルマン征服後が過渡期)では「大穴」を指すとのことですが、語源の1つは古北欧語の ‘svelgr’、それこそ「渦」だというのです。

2018年10月11日木曜日

英語の名前とか(14)

またちょっと間が空きましたが、予告どおり、「鳥」の名前が先祖の渾名で、それが名字となったという例について、少しく記します。

トリ系の名字には、それこそ ‘Bird’ なんてのから、たとえば ‘Crow’ だの ‘Sparrow’ ってのまで、結構いろいろあるようです。 ‘Nightingale’ などという風流なのもありますが、子供の頃は、うちにあった薬の入れ物に描かれていた昔の偉い看護婦さんの名前、っていう認識。何だか長い名前だなあ、とは思っとりました。声のきれいな小鳥の名前(ツグミ科の由)だったとは知りませず。

いずれにしろ、主として性格に対する譬喩として鳥の名が後に子孫の名字となった、というのが基本的な型のようではあるものの、多くは確たる起源が知れず、あるいは複数の起源を擁するとともに、「ケモノ」系と同様、音韻や表記の変遷の結果、宛もトリの名前のようになっているだけ、という例も散見されるとのこと。 ‘Robin’ なんてのもその1つで、どうやら第1区分の「先祖の名前」由来という一派にこそ帰すべきものであり、さらに ‘Robins’ となると、それは ‘Robson’ と同じく、 ‘Robert’ の息子たる ‘Roberts(on)’ の派生形とのことで、どうも例外なく人名由来ということにはなるようです。
 

2018年10月7日日曜日

英語の名前とか(13)

早速ですが、猛獣シリーズ(?)に続き、動物の名前のついた名字について申し述べます。とりあえずは 「犬」と「猫」ってのが、何より卑近な動物ということにはなりましょうか。

‘Dog’ って名字も ‘Cat’ って名字も、あるにはあるんですが、渾名型に該当するのはどうも後者の「猫」だけのようです。それも、たぶんそうであろうとのことであって、渾名だとしても、どういう意味合いなのかはかなり曖昧とのこと。容姿よりは性格に由来するものが基本とは思われますが。

いずれにしても、飽くまでその名字の起源が「先祖の渾名」か否かってことが眼目ではあった筈なんですけど、確実な由来がわかったとしても、それは単に、昔の先祖に1人そういう人がいて、その渾名が子孫には名字として伝わった、という経緯が知れるというだけのこと。何より、大半は飽くまでその可能性がある、というに過ぎないのが実情と申すしかありませず。
 

2018年10月5日金曜日

英語の名前とか(12)

前回は、色にまつわる渾名由来の名字について、またぞろ索然たる駄文を晒しました。今回はそれ以外の渾名型名字についての与太話を。これで都合4種に大別される英語の名字談義は漸く終幕となります。と言いたいところだけど、たぶん今回もまたとても全部を述べることはできないでしょう。と、予め断っとくことに。

ともあれ、まずは鳥獣名が渾名として用いられ、それが子孫の名字となったという事例について。と言っても、既述の如く、他の渾名系に違わず、と言うより他よりその度合いは大きいとも思われますが、動植物の名称が名字となっている場合は、その由来が多様で、単純に渾名だったかどうかがまず断じ難いとのこと。まあひとまずは、渾名由来が基本ではあろう、とされるものをいくつか記すことに致します。