2018年6月29日金曜日

改めて「時制」または ‘tense’ について(1)

「時制」という名詞に対応する英語の ‘tense’ は、「一定の時間」というほどのラテン語 ‘tempus’ を語源とするものである一方、同音同綴の「緊張」、というより「張りつめた」という意味の形容詞は、 ‘tensus’ が語源、てなことは以前申し上げました。

ところが、「緊張」の意の形容詞(および動詞)より先に、古フランス語を経て移入されたという名詞の ‘tense’、「時制」について、これを飽くまで発話における「緊張」の度合いを表すものとし(意味わかんねえけど)、時間的な区分に特化した「時制」という訳語がそもそも不適当、などという、それ自体があまりにも頓珍漢な解説を、日本語で書かれた英文法サイトでは見かけることがあります。

2018年6月27日水曜日

‘marked’(有標?)

もうだいぶ前に書いていたような気のする ‘tense’ の話の途中、多少とも関係ありそうだということで、まずは ‘finite’ なる語について余計なことを記してるうちに、もっと余計な駄文を書き連ねることになってしまったのが前回までの流れでした。当初はその ‘finite’ と並べて ‘marked’ てえもんについても説こうとしていたのが既に懐かしいほど。

実はそれ、 ‘finite’ よりさらにお呼びでないような風情も漂わせつつ、 ‘tense’、「時制」という動詞の形にはその ‘marked’ という分類が充当されたりもする、ってことで、ひとまずはその語義などを概括しとこうか、というのが今回の趣旨。因みに、 ‘infinitive’、「不定詞」ってやつは、対義語たる ‘unmarked’ に当てはまるんですけど、そういったことについて述べて参ろうという魂胆です。
 

2018年6月23日土曜日

‘verb phrase’ ならぬ ‘phrasal verb’ について

前々回、「動詞句」が ‘VP’ こと ‘verb phrase’ とは限らない、って話に絡んで、「句動詞」すなわち ‘phrasal verb’ というやつはまた全然別、ってことにちょっと触れ、「その話についてはまたいずれ」などと申しとりました。それを以下に。

‘VP’ すなわち ‘verb phrase’ については、対応すべき訳語である「動詞句」が概ね「述部」全体を指すのに対し、英語の文法書ではむしろ、その述部の中の動詞部分(述語動詞?)のみを指す場合が多く云々……という、またぞろどうでもいいことを長々と書き連ねたのが前々回の投稿……だったと思いますが、その「動詞句」に対し、「句動詞」と訳される、いずれにしてもまったくの別概念である ‘phrasal verb’ というやつについて、さらなる無用の書き込みをしようとの、またしてもまったく要らざる目論見。 

2018年6月18日月曜日

‘7 sentence patterns’ 対 「5文型」その他

前回も丸ごと逸脱ネタではありましたが、毒を喰らわば何とやらてえ風情で、今少しさらなる蛇足を加えときます。

日ごろ己が身のほどをも顧みず揶揄しております日本式英文法における「動詞」としては、例の「5文型」の説明で用いられる大文字の ‘V’ ってのもありましたね。 ‘S’ だの ‘O’ だの ‘C’ だのと同様、文を構成する要素を指すやつで、当然単語の動詞とは限らないのはご承知のとおり。この場合の「動詞」、つまり ‘V’も、あたしが勝手に専ら ‘verb’ として語ることにしているものと違うのは、もはや言うに及ばざるところかと。

2018年6月13日水曜日

‘VP’(動詞句?) その他

話が前後してばかりですが、 ‘verb’ の定義について改めて愚見を述べることに致します。またしても ‘tense’ どころか ‘marked’ の話さえ先延し。何せ全部無計画に書いてるもんで、毎度恐縮の限りとは存じつつ。
 
                  

さて、これまではいちいち「単語としての動詞」とか「単体の動詞」などと断っておりましたが、前回も申しましたように、実は英語の書籍などでも、 ‘verb’ という言葉を、単語に限らず、複数の語の連なりにも充当する例は少なくありません。それは、まあこの語に限ったことではないとは申せ、文法用語としての多義性の故ではあるのですが、前回の主旨であった、 ‘finite’ か否かという話においては、1つ以上の助動詞にいわゆる本動詞が連なった複数の語の集合についても、その構成要素たる個々の単体を ‘verb’ として扱わなければあまり意味がない、との了見の下に、そのような前提でいろいろ書き散らしてはおったのでした。相変らず何言ってんだかよくわかんないとは思いますが。

2018年6月10日日曜日

‘finite’(定形?)

前回は ‘tense’、「時制」ってものについての存念を吐露せんとしながら、またぞろ殆ど関係ない話に終始してしまいました。ついでに ‘finite’ とか ‘marked’ とかいう言葉も思い出しちゃったので、主旨だった筈の ‘tense’ 談義はちょいと休み、今回はまず ‘finite’ てえやつのほうについてひとくさり。どっちの語も ‘tense’ と関係なくはないし。
 
                  

さて ‘finite’、これ、日本じゃ「定形(の)」とかって言ってんですけど、高校では専ら ‘finite verb’、「定動詞」(定形動詞?)の「定」としてしか知らなかったような。「定動詞」てえから、てっきり形が定まったやつなのかと思ったら、文中の役どころに応じてチョロチョロ形の変るやつなんでした。と言うより、むしろそのいろいろに変る個々の形についての用語ってのがほんとのところ。またしても動詞の語形の区分、ってことで。

2018年6月5日火曜日

‘tense’(時制?)についてちょっと

先般も申し上げましたが、「時制」の原語たる英語の ‘tense’ は「一定の時間」を意味するラテン語 ‘tempus’ が語源で、同音同綴ながら「緊張」のほうは ‘tensus’ から変じたものでありました。で、「時制」のほうの ‘tense’ の基本義は、「その動詞の表す動作・状態がいつのことなのかを示す形」といったところではあるものの、現実の用法はそうスッパリと割り切れるものではない、ってのが今回の主旨です(たぶん)。
 
                  

中学や高校の英語の授業で、「仮定法過去では現在の事実に反する仮定に過去時制が用いられる」とか何とか、そんなふうに習った記憶があるんですが、この「過去時制」とか「現在時制」、それに「未来時制」や、さらには「完了時制」だの「進行時制」だのという言い方が、当時からどうにも落ち着かななくて。